インタビュー
古き良き時代のビンテージ品に宿る"物語"に満ちた空間で、 生産者の情熱が込められた、野菜の美味しさを伝えたい!
はじまりどころ teira dochiraika(ティーラドチライカ)
- 店名の由来を教えてください
“ティーラ”は沖縄の言葉で「太陽」、“ドチライカ”は徳島弁の昔の方言で「どういたしまして」という意味です。沖縄の太陽のように陽気になれる店、そしてお客様から「ありがとう」と言ってもらってはじめて「どういたしまして」と言えるので、「ドチライカ(どういたしまして)」とたくさん言えるようなお店にしたいという願いを込めて名付けました。「はじまりどころ」は、お客様や取引業者さんとの“縁の始まる場所”という意味です。
- お店の特徴について教えてください
とりあえず「全部派手」という感じですね。店の内装については、ド派手な僕の脳内空間ってイメージで作っているのが特徴で、食器も椅子も、インテリアとかおもちゃに至るまで、基本的に全てビンテージです。椅子も半分以上のものがアメリカンビンテージの黄金期と言われている50年代のもので、今ではなかなか手に入れられないようなものもあります。
店内の家具や食器については、“ミッドセンチュリー”と言われている1940年代から1960年代のものをメインに使っていて、ファイヤーキングなどアメリカのものを中心に日本のものも少し取り混ぜて使っています。この家具や食器を使いながら、「1950年代のアメリカでどんな人が使っていて、どういう経緯で今ここにあるんだろう・・・。」って想像して楽しんで欲しいですね。- ビンテージ品の収集はいつから始められたのですか?
ビンテージは物心ついた頃から好きですね。親父とか家族の影響じゃないでしょうか。このコップとかも、僕が小さい時に地元のお好み焼きやさんで、水を飲んでいたものなんですよ。それをもらってきて、飾っています。このトランクみたいなカバンも自分が使っていたものだし、そろばんとかも、5つ玉の古いものです。測りや薬入れもうちの実家にあったものだし、水平器はうちの先祖が使っていたものです。
インテリアについては実際に僕が使っていた私物も多いのですが、食器などはアンティークショップを経営している友達に買い付けてもらったりしていて、「これだけ数があるのはやばいね」とよく言われます。カップ1つが7000~10,000円するので、僕みたいなマニアじゃないと店で使ったりしないですよね。- 出店された経緯を教えてください
元々アパレルショップに勤務していたのですが、縁あってイタリアンのお店でも働く機会があり、その時のお客様との会話が楽しくて、飲食の仕事って楽しいなと思いました。それからいろんな料理人の方と接する機会もあって話を聞くと、みんなめっちゃ熱い気持ちでやってるんですよ。頑張って野菜とか素材を探してきて、どうしたら美味しく届けられるんだろうって一生懸命考えて、お客様に喜んでもらえるように頑張っているのを目の当たりにして、ちょっとカルチャーショックというか、カッコイイなと思って、そういうのしてみたいと思ったんです。今まで考えたこともなかったなと。熱い気持ちで料理している知り合いの姿を見て、刺激を受けました。
そして、別の飲食店に移って働いていた時に、松山市が開催している「経営者セミナー」みたいな会に誘われて行きました。そこで、「飲食やりたいなら、とりあえず事業計画書出してみたら?」って話になって、書いて提出したらそれが通って、銀行から融資がおりることになって・・・という感じで、とんとん拍子に進んじゃいました。「やるぞ!」っていうよりは、流れでここまで来たという感じですね(笑)。- 出店場所探しの方法と、この場所を選んだ決め手を教えてください
融資がおりそうだなって時に、「そろそろ物件探したら?」という話になって、日本エイジェントの社員さんと面識があったので相談したら、繁盛店物語の野村さんを紹介してもらってからは、野村さん頼りでしたね。初めは道後エリアの物件を探していたんですけどなかなかなくて、範囲を広げて5物件ほど見に行ったかな。
とりあえず1階がいいと思って探していたんですけど、広すぎたり、家賃が高すぎたりと1階の物件で条件に合うところはなかったですね。ここは1階ではないですけど、広さと家賃のバランスが良かったです。さらにスケルトンだったので、下手にカタチが残っているよりは好きにできると思ったのと、立地的にも「ここなら空中階でもいけるんじゃないか」と思って決めました。- この印象的な内装は、どのようにして作られたのですか?
契約した時はスケルトン状態で床材も貼られてなかったので、配管を通してから床材を張ったり、カウンターや棚を取り付けてもらったり、大掛かりなところだけ整えてから引渡ししてもらって、それからは自分たちで壁の色を塗ったり内装を仕上げていきました。壁の配色については、色のベースはある程度考えていて、どの角度で写真を撮っても、2~3色は色が入るように考えて塗りました。細かなところは塗りながら決めていくという感じでしたね。
- 「こんなお店にしたいという」希望はありましたか?
親父が野菜を作っているんですけど、すごい熱い想いで苦労しながら作っているので、「この野菜作りの熱意をお客様にきちんと伝える人がいるんじゃないか」と以前から思っていました。「この野菜にはこんな特徴があって、こうやって育てたんですよ。」とか、作り手じゃないと発信できないじゃないですか。それを伝えないで、ただ買ってきて洗って食べるだけだと、そのストーリーが全部なくなっちゃうんで、それはもったいないなと思って・・・。
生産者さんの気持ちとかクセは、野菜の味にも出てくるんです。例えば、うちの親父が作ったら、辛い野菜でも辛味が弱くなって甘みが増して、鮮度も長持ちしたりするんですけど、そこに至るまでにはいろんな努力をしているんですよね。そういった作り手の気持ちが伝えられるお店にしたいなと思っています。- メニューについて、教えてください
お昼のランチメニューは、パスタかピザをメインにどちらにも「ミニサラダ」「自家製カラフルピクルス」「自家製ポテトサラダ」「野菜のロースト」を盛り合わせたサラダがセットで付いています。サラダは、旬の野菜を取り入れているので毎回種類は違うんですけど、ローストとフレッシュとボイルと、たまにグリルも入れて、あとポテトサラダとピクルスも入ってます。日にもよるんですけど、例えば大根を3種類使っていて、それを3種とカウントするなら、20種類くらいは野菜を使っていますね。
カフェメニューは、クリームソーダやフォンダンショコラが人気で、特にフォンダンショコラはすぐに売り切れちゃいますね。夜はパスタやピザ、人気のアンティパストミストの他に、アヒージョやフリット、生ハムの盛り合わせなど、イタリアンのアラカルトメニューを用意しています。生ビールやワイン、カクテルや世界の地ビールなど、アルコール類も充実していますので、ぜひ料理と一緒にお楽しみください。- 料理へのこだわりについて教えてください
野菜の切り置きとかが嫌で、注文が通ってから切るようにしています。すごく時間かかって、お客様をお待たせしてしまうこともあるのですが、美味しく食べて欲しいので、ここには時間を掛けています。盛り付けとかも平置きしたらもっと早く簡単にできると思うんですけど、せっかくうちに来てくれるんだから、そこは手を抜かずに、目でも楽しめるようなサラダをお出ししたいと思ってやっています。うちに来たら、サラダはぜひ食べて欲しいですね。
あと、トマトパスタとかはソースを3時間ほど煮詰めてるんですけど、季節によって色んな野菜を火入れしまくって、野菜からの甘みも出るようにしているのでこれも食べてみていただきたい!パスタの茹で塩とかもイタリア産のものを使ったりしているので、どうしても原価率が高くなっちゃってるのが悩みです(笑)。- このお店を出して良かったなって思う瞬間は?。
“茗荷(ミョウガ)”が嫌いなお客様がうちのピクルスを食べて「食べれるんですけど!」って言ってくれたり、お母さんと一緒に来られたお客様が、「野菜嫌いで普段はほとんど野菜を食べないけど、ここのなら食べれる。」って言ってくれて、そのお母さんが子供さんに野菜食べさせたいからって連れてきてくれるようになったりとか・・・、そういう食べられなかったものでも、「ここのなら食べられる」ってなった時ですね。料理人として、野菜を作っている生産者さんにも喜んでもらいたいし、それを食べに来るお客様にも喜んで欲しいと思っているので、この瞬間が一番嬉しいです。
- これから、どのような店舗にしたいと考えていますか?
もっと人の“日常”に関わっていけるお店にしたいですね。「今日は嫌なことがあったんで、ちょっとコーヒーを飲みに寄りました」って来てくれる方もいたりするので、日常の生活の中で思い出して、気軽に立ち寄ってもらえるような店になれば嬉しいです。店内のこの派手な色に囲まれると元気が出るのか、店に来くれれた人は、基本みんな明るい感じで帰ってくれてます。1日5回来てくださった方もいて、それには僕もビックリしたんですが嬉しかったですね。コンビニみたいに気軽に立ち寄ってもらえたらなと思っています。
- お客様へのメッセージをお願いします。
常連さんによると、うちの店に初めて入る時には少し勇気がいるらしいんです。なんか僕もちょっと怖く見えるみたいで(笑)。店内もこんなに色が多かったら目がチカチカして落ち着かないでしょって言われることもあるんですが、一度入ってくれたら「意外と落ち着くね」とか、「思ったより話しやすい」って常連になってくれる人も多くて、長い人だと4時間くらいいらっしゃることもあるんですよ。「店内派手やなー」って思うかもしれないですが、ちょっと1回勇気を振り絞って来てみてください(笑)。
今は注文を取るのも料理を作るのも、会計をするのも全部一人でしているので、どうしても時間がかかってしまい、お待たせしてしまうこともあります。事前にご予約いただくか、お休みの日やお仕事帰りなど、ゆっくりできる時に来ていただけると嬉しいですね。
インタビューにお答えいただきありがとうございました!
- はじまりどころ teira dochiraika(ティーラドチライカ)
愛媛県松山市大街道2丁目2-8 モスリン館3F301
TEL:089-997-7160
営業時間:12:00-23:00(LO.22:30)※ランチは14:00迄
定休日:水曜日