インタビュー
弦楽器文化の素晴らしさを伝える拠点になれば
弦楽器工房 "La chiave di basso"
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<参加者>
◆弦楽器工房La chiave di basso 西村啓志さん
◆ステディークルー株式会社○○渡部勝平さん
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愛媛県松山市に生まれ、小さな頃から楽器に、音楽に触れてきた西村さん。
高校からは吹奏楽部でコントラバスを担当し、さらに「低音」の世界にのめり込んでいった。
高校卒業後名古屋の弦楽器専門学校に入学。卒業後はイタリアの
国立クレモナ国際弦楽器制作学校へ進学し、在学中に著名なマエストロ、
マルコ・ノッリの工房の門を叩き、学校と同時進行でコントラバスの
製作修理調整について学んだ。
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7 年ほどの留学期間中に描いていたのは「いつか地元松山で自分の工房を持ちたい」という夢。
まずはインターネットでの物件探しを始めた。
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物件の探しやすさ、サイトの見やすさから「繁盛店物語」にたどり着き、問い合わせをすることに。
実家からも自転車で通える場所、そして楽器や木材の運びやすさなどを考慮してトラックを横付け
しやすい場所、できれば路面という条件の中から探していった。
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もうひとつ、西村さんが気になっていたのは音。
電気のこぎりなど木材をカットする際には大きな音が出るため、周辺環境も確かめる必要があった。
そんな中で繁盛店物語の担当者がピンときたのがここ、柳井町の一角にある、古いビルだ。
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このビルのオーナー、ステディークルー株式会社渡部勝平さんは言う。
「柳井町商店街の活性化も担う立場として、このビルにものづくり的なものが集まるものにという構想があった。
同じような感性を持っている人、そしてこのビルのように古きよきものを大切にする人を探していた。そんな時に
西村さんを紹介されて、この3F の部屋に連れてきた時に、窓からの風景を見てふと『イタリアに似ているな』と
呟いたんです。その瞬間に、自分の中では決まってました」
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裸一貫、松山で新しいことを始めようとする西村さんのその情熱を応援したいと思ったと同時に、
部屋だけでなく街の風景をきちんと見ていたことが印象に残ったのだそうだ。
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一方、西村さんは
「イタリアから持ち帰った工具や、横幅が2 メートルを超える机をどう配置するかなどを考慮する必要があった。
この部屋ではここにこれを置いてこういう導線で、というのがすぐに描けたんです」と言う。
コントラバスは全長2 メートルを超える楽器のため、それなりに作業スペースが必要。
全ての壁を取り払い、工程ごと効率よく作業できるような環境ができるのかどうか、
という点も決め手になった。また明るく風通しが良いという点でも、工房にはメリットのひとつになったそうだ。
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2020 年2 月の終わりに合意し、3 月から契約開始。西村さんはお母さんと二人でリノベーションを開始した。
部屋に残されていた家具なども一部利用しながら、現在の工房が出来上がった。
2020 年4 月10 日には、晴れて「弦楽器工房La chiave di basso」がオープン!
工房名は魅了されている低音域、ヘ音記号の意だ。
そしてつい先日には、この工房でイチから作ったコントラバスの記念すべき1号が完成した。
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「商店街を通る学生さんたちを見て、ああいま何時なのかと時間を知る感じが面白いですね」
と笑う西村さんは、すっかりこの柳井町商店街に溶け込んでいるもよう。
現在はコントラバスだけでなく、バイオリンやチェロなど弦楽器全般のメンテナンスも手がけている。
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ひとつ夢を叶えた現在、次なる夢は弦楽器文化をもっとたくさんの人に知ってもらうこと。
そしていつかイタリアでお世話になった師匠マルコ・ノッリをこの工房に招くことだ。
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インタビューにお答えいただきありがとうございました!
- 弦楽器工房 "La chiave di basso"
松山市柳井町1 丁目11-1 ステクルビル3F-C
cell:090-6886-4309
https://liuteriabasso.tumblr.com/
営業時間:月~土曜日10:00~12:3014:00~19:00
日曜予約のみの対応